次世代ゲノム解析専用アクセラレーターRASENプロトタイプ、従来手法と同等の高精度を実証

お知らせ

〜東北大学との検証で99.8%の一致率を確認〜

株式会社Mitate Zepto Technica(MZT、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 原島 圭介)は、最先端半導体技術を活用したゲノム解析専用アクセラレーター「RASEN」のプロトタイプが、従来手法に匹敵する精度を達成したことを発表しました。東北大学との共同研究により、従来のゲノム解析手法(BWA)と比較して99.8%の一致率を達成し、高速性と高精度を両立できることが実証されました。

検証結果の概要:

  • 高い一致率:
     全12検体において平均99.8%の一致率を達成
     複数の検体で100%の一致を確認
  • 一貫した精度:
     全検体において99.6%以上の一致率を維持
     人種や性別による精度の偏りは見られず
  • マッピング精度:
     結果の不一致は各検体で極めて少数
     詳細な目視確認でも高い信頼性を確認

今後の展望
本製品は、全ゲノム解析を5分以内で完了できることが自社による高速解析検証で確認されており、今回の検証結果は、半導体を用いた最終モデルの実現性を示しています。
今回のプロトタイプ検証結果を踏まえ、MZTは今後、次のステップとして半導体技術を用いた最終製品の開発を加速させます。新開発の半導体を実装した製品は、高速化とエネルギー効率の向上をもたらします。
特に、臨床応用や大規模な研究プロジェクトにおいて、短期間で大量のゲノムデータを解析することが求められる中、「RASEN」は次世代のゲノム解析における重要なインフラとなることを目指しています。研究者や医療機関が迅速にデータを活用できる環境を提供し、個別化医療や遺伝性疾患の早期発見に大きく貢献する予定です。
さらに、MZTは国内外のパートナー企業や研究機関との連携を強化し、実際の現場でのフィードバックを基にした改善や最適化を図ります。
「RASEN」を通じて、研究から臨床までの幅広いニーズに応えることで、ゲノム解析のさらなる発展と、それを基にした医療やバイオテクノロジー分野での新たな革新を実現します。

東北大学 医学系研究科 髙山 順 准教授 コメント
今回の「RASEN」プロトタイプによる精度検証によって、その設計目的である「BWAと同等もしくはそれ以上の解析精度」を十分に達成できる能力を有すると評価できます。

MZT 代表取締役社長 原島 圭介 コメント
この度の東北大学による精度検証の結果は、私たちの技術の確かさを示す重要な一歩です。BWAと同等の精度を確認できたことは、スピード検証の結果と相まって、半導体技術を活用したゲノム解析の新時代がもう目前にあることを意味します。
設立以来、私たちは『簡単にゲノム情報を活用できる世界』の実現を目指してきました。特に臨床現場での迅速な診断支援や、大規模研究での効率的な解析など、社会実装を見据えた価値の提供に取り組んでいます。 今後は半導体デバイスとしての製品化に向けて、医療機関や研究機関の皆様に、より使いやすい形でお届けできるよう、開発を進めてまいります。

「RASEN」プロトタイプによる検証の詳細

リファレンスゲノム:
  -日本人参照ゲノム配列 JG2.1
サンプルの選定:
  -1000 genomes projectのCEU、YRI、JPTそれぞれ男女2名ずつ
解析対象領域:
 以下の5つの既知の多型を含む領域(各2kb)を解析
  -LCT遺伝子(rs4988234)
  -FADS1遺伝子(rs174570)
  -ALDH2遺伝子(rs671)
  -SLC24A5遺伝子(rs1426652)
  -TP53遺伝子(rs1042522)
検証手順:
  -マッピング解析
   JG2.1に対し、12検体の5つのSNP領域由来のfastqデータをマッピング
   「RASEN」と一般的なBWAの両方でマッピングを実施
  -結果の比較解析
   両手法から出力されたマッピング結果を比較
  -目視確認
   マッピング結果について、IGVを用いて目視確認を実施

結果:

検証環境:
本検証は、専用のFPGAベースの「RASEN」プロトタイプを使用して実施されました。FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)は、高速処理が可能で、将来の半導体実装を見据えたパフォーマンス評価に適した環境です。
検証に使用されたシステム構成は、CPUにRyzen9 7900を使用したPCに接続されており、ハードウェア間の連携において、最終製品での動作を模擬しています。

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